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          齊藤 秀樹  監督

 
 

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2024/05/17

シリーズ「子育て講座」④(監督から)

Tweet ThisSend to Facebook | by:スタッフ
  シリーズ「子育て講座」④   監督 齊藤 秀樹
【育児期】
《3~5才》続き 
 「やってごらん」が大切なのは、1つに『失敗の体験』をさせる必要があるからです。失敗の体験を持っているかいないかは、後々の成長に大きな違いとして出てきます。この時期の子どもは、失敗しても「恥ずかしい」とか「かっこ悪い」とは思いません。そういう自意識が出てくる前に、失敗の体験を一杯させることが大切です。

 もう一つのポイントは、集団遊びが始まるこの時期に、ケンカをしたり、泣かされたりという人間関係の失敗体験をたくさん積んでおくことです。親としては心配でしかたないかもしれませんが、この失敗体験が、将来たくましく、自分の興味あることに意欲的に頑張っていける子を育てます。

 子育ての中で、この時期が一番「過保護」「過干渉」がいけない時期だと思います。親が何でも先回りしてやってはいけないのです。小さいケガはした方がいいのです。この時期の子どもの身体は、ケガをあまりしないようにできています。転んでも骨折なんかしないで上手くこける(ころぶ)ことができます。それなのに、ヘルメットに肘、膝のサポーターという万全の格好で、スケートボードをやっている姿をよく見ますが、あんなことはしなくていいと思います。

 小さなケガの積み重ねが大きなケガを防ぎます。この「母子分離」「第一反抗期」の過保護と過干渉で育てられると、ひ弱で、自分に自信のない子が育ちます。
 やりたいことが沢山あって、それをどんどん実行に移すことを通して、成功の体験も失敗の体験も豊かに持っている子が、人生をたくましく生き抜く人間に育ちます。

《この時期の問題点》
 さてこの時期は、実際に子どもを持ち育児している点で今までとは明確に違います。出産という一大事を乗り越えた自信を基に、子どもを持った責任感や我が子を守り育てる自覚が出てきます。この時期に最も大切なことは、とにかく子どもに愛情を注ぐことです。子育ては全てが楽しい経験ばかりではないかもしれませんが、愛情を持って接し、この世に生まれてきたことへの喜びを子どもに伝え続けることです。

   悲しいことに、最近またあちこちで児童虐待のニュースを耳にしますが、実は児童虐待を受ける子どもの約半数がこの乳幼児時期に集中し、さらに虐待で死亡する7割以上が0~3才児だというデータが出ています。ではなぜ時期に虐待が多いのでしょうか。私は「親が子どもとの距離感をつかんでいない」からではないかと思っています。
    例えば、子どもに暴力を振るったり暴言を吐いたりするのは、我が子を自分の所有物のように扱ってしまっていることに一因があります。自分の子どもだから何をしてもよい。自分の思うようにならないので腹が立つ。何をしたって何を言ったって、家の子のことを外部からとやかくいわれる筋合いはない。そう考えてしまうようです。子どもは第一反抗期になると、親の思うようにならなくなります。自己主張もするし、言うことを聞かなくもなります。この経験を通して子どもというのは個性を持った一人の人間であることを親は自然と体で感じていくはずです。
   また保育園や幼稚園に通うようになれば、他の家の子どもたちの様子も見聞きするようになります。体格や行儀の違い、体力や作品の出来の違いなどに気づきます。子どもは家族以外の外の世界で友人を作るようになり、先生達とも関わるようになります。これを子どもの発達のために望ましいと思って見守れるのが親としての健全な発達です。そして「我が子は他人と関わりながら豊かに成長していく」ことを実感するのです。
 
 しかし児童虐待をする親はそういう適切な距離の置き方ができな人が多いです。子どもの自己主張を「生意気だ」と感じ、ついカッとなって、声を荒げ、手を挙げてしまう。どうしても思い通りにいかないと今度は何も面倒を見ず、放置しだす。本来は愛情を注ぎ、世の中のことをしっかり教えてあげなければならない親の責任を放棄してしまう。
 このように子どもとの距離感の取り方が、近すぎたり遠すぎたりする親が虐待や理不尽な要求を繰り返す親になってしまうのではないかと思います。         つづく  

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