学校・家庭・地域の連携 監督 齊藤秀樹
最近、各学校のホームページを見ていると、保護者の方々が学校に集まり、学校美化作業に汗を流している記事と写真が良く載っています。学校によって協力体制に差はあるものの皆さんお疲れ様です。そして子どもが通う学校のためにありがとうございます。
さて、子どもの教育は「家庭」「学校」「地域」によって営まれるものです。ですから学校というのは子どもたちを教え育てる主たる場所ではありますが、当然全てではありません。
外国(欧米)の学校では、ずいぶん前から原則として、「勉強は学校」「行事やスポーツ活動は地域」「しつけは家庭」という互いの役割の分化がしっかりとできているそうです。例えば、勉強のことは学校に任せているのだから、教科書は学校へ置いておき、授業参観などもあまりやらず、反対にスポーツ大会(日本では運動会)や遠足、自然教室などは地域が中心になって行うそうです。
では日本はどうでしょう。家庭学習は学校の先生が宿題として出す。キップの買い方や電車の乗り方を生活科で教える。遊ぶ友だちがいなければ先生が中に入って何とかしてあげる。万引きや喫煙などの非行(問題行動)が起こると、先生が飛んでいって謝罪し、指導する。…。そうした結果、学校教育の中に遊びや体験活動の要素が加わり、問題行動が起こらないように生徒指導(しつけ)がどんどん厳しくなっていく。反対に、地域にはたくさんの学習塾ができて、多くの子が放課後や休日には塾へ通い勉強する。という役割の混同が起きています。
ずばり言わせてもらうと「学校は病院ではない。まして警察でも裁判所でもない。学校は勉強を教えるところだ。」と思います。歴史的な学校の成り立ち(寺子屋~学校)から見てもこれは確かなことだと思います。
しかし、そうは言っても、日本の学校には昔から学校行事や部活動などの、日本独特の価値ある活動がたくさんあります。また、同年代の子どもたちが毎日集まり、多くの時間、空間を共同体として過ごす場は、現実的に学校しかありませんので、やはり人間関係づくりや規範意識(約束やルールは必ず守る)などの社会性を育てるのも、学校教育の大きな役割だと思っています。
要するに私が言いたいのは、日本も欧米のように役割を明確に分離すべきだということではありません。もっともっと学校と家庭・地域が深く結びつき、交流し、皆で知恵を出し合って、協力しながら、いっしょになって子どもたちを育てていこうということです。
そんな中、親子で過ごす時間を作り、日々のコミュニケーションを大切にしいる素敵な家族、地域で社会体育(スポーツクラブ)を指導し、子どもたちの体力づくりや仲間づくりに毎週汗を流してくれているお父さん、読み聞かせや除草作業、交通安全指導などのボランティアに率先して参加してくれるお母さん、保護者会や家庭教育学級の役員さん、毎日防犯パトロールを続け子どもの安全を見守ってくれている高齢者の皆さん、本当にありがとうございます。
皆さんの力で、次代を担う大切な宝物である子どもたちを共に育てていきましょう。
これからもSAAは、「子どもたちが誇れるクラブ」「保護者から感謝されるクラブ」「地域から愛されるクラブ」を目指して、常に教育方針を明確に示し、子どもたちの活動を公開し、皆様からの意見や評価を取り入れながら、信頼される陸上クラブづくりを推進していきたいと思います。どうぞこれからもSAAの応援団として、多大なるご支援ご協力をお願いいたします。