活力は「やればできる」体験から生まれる 監督 齊藤 秀樹
私はかれこれ28~9年前から休日を使って白井市、印西市近隣の小学生を対象にSAA(白井アスレチックアカデミー)という陸上クラブを主催し、毎週指導しています。チームの実績としては、過去に女子リレー、男子リレー、男女混合リレーを筆頭に、100m、ハードル、走り幅跳び、走り高跳び、ボール投げ等で、合計130名の子ども達が千葉県大会で優勝し、全国大会に出場しています。全国大会でも2位が4回、3位が2回ありますが、リレーでの日本一にはまだ届いていません。いつの日か日本一のチームを…を夢見ています。私の目標はオリンピック選手を育てることではありません。教え子が親になった時に、「お母さんは小学生の頃、全国大会に出場し、国立競技場(日産スタジアム)で走ったんだよ。」が胸を張って言えることです。全力で努力し、夢を叶え、輝いた経験は、生きる自信につながると信じます。
さて、ノーベル賞受賞者で数学者の広中平祐さんが著書の中で「自分で目標を決め、それに向かって努力するかしないかで、その結果に大きな違いが出る。」と書いています。自らが目標を決め(夢を持ち)、それに向かって最大限の努力をするってすばらしいことです。よく学習や運動の魅力を味わわせることの大切さに「楽しさや喜び」という言葉を使いますが、実は両者の間には大きな違い(差)があります。「楽しい」というのは、好きなことを自分なりにやっているだけでも「楽しい」のですが、「喜び」というのは「やった。できた。うまくなった。勝った。」という感動・感激体験のことです。そして、そこには必ず“苦しくても、歯を食いしばって、精一杯頑張った”という過程が入ります。即ち「努力」です。何かが成功したときや、何かをやりとげたときに飛び上がって万歳するほど「うれしい」。失敗したとき、うまくいかなかったときに涙があふれるほど「悔しい」という心情は、全力で努力をしない子には決して味わえない感情です。
私は日々の練習の中で、たくさんの感動・感激体験を味わわせ、常に“やればできる”を信じて努力する子どもを育てたいと思っています。
子どもには無限の可能性があります。大きな目標(夢)を持ち、それに向かって全力で努力すれば、叶わない夢なんてないし、子どもたちはこれからいくらでも変身・成長していくことができると信じます。
走ることが得意な子と、苦手な子がいるのは事実です。しかし、適切な指導を受け、何度も練習していけば、誰でも必ず足は速くなります。そういう意味で私は教育の可能性を信じています。しかし、同じ指導者から同じ指導を受けていても記録が飛躍的に伸びて、どんどん速くなっていく子もいれば、少しの向上で止まってしまう子がいるのは事実です。それはなぜでしょう。私は「活力」だと思っています。活力とは自分から「上手くなりたい。強くなりたい。できるようになりたい。勝ちたい。」という内面からのエネルギーのことです。指導者がどんなに熱心に丁寧に教えても、子ども自身に活力がないと決して伸びません。「活力ある子ども」を育てることこそが、私は教育の究極の目標だと信じています。