「はじめの一歩」を大切に 監督 齊藤 秀樹
進学・進級おめでとうございます。今年度もおなじみのこの記事で始めます。
先日の4月5日の始業式での一場面です。始業式が終わり、「それでは今から担任の先生の発表をします。」と言うと、子どもたちが急にそわそわザワザワし始め、体育館が何とも言えない緊張感に包まれます。そして校長先生から「○年○組、○○先生」と次々に担任を発表するたびに、あちこちから「わぁーい。やった。バンザイ。」「えー。うそー。あーあ。」「うっ。(シーン)…」等実に様々な反応が返ってきます。私たち教師は、必ず毎年この何とも言えないこの瞬間に立ち会わなければなりません。そして、緊張気味の先生方をよそに、子どもたちは実にシビアに(素直に)一喜一憂して見せます。
私たち教師の仕事は、まずはこの出会いを正面から受け止め、ここから新たな関係づくりをスタートさせなければなりません。私立学校や学習塾のように、この学校(塾)で学ばせたいという保護者と、教わりたいという子どもを集め、試験や面接を通して学校(塾)が入学を許可した子どものみを教える相思相愛型の出会いとは違い、公立の小学校の場合は、「子どもは担任を選べない。担任も子どもを選べない。」という原則の下、共に選んだわけでもない両者が偶然に出会い、そこから少しずつ時間をかけて、信頼関係や師弟関係づくりが始まっていきます。
「千里の道も一歩より」「はじめのボタンをかけ違えると、最後のボタンははまらない」という通り、「はじめの一歩」はとても大切なのです。しかし、よく考えてみると、始業式で見せた子どもの反応は、あくまでその先生の表面的なイメージからのものであり、実はその後に行われた各クラスでの自己紹介や学級指導、更にその後、数日間の授業や様々な活動の中で、少しずつ担任の先生の人柄や生い立ち、そして、めざす子ども像や経営方針などが理解できるようになっていくものです。
私たちは全く別々の生い立ちや個性や能力を持ったお子さんを、別々の考えや方針を持った保護者から預かり育てるという仕事をしていますので、当然監督やスタッフのやり方については賛否両論が出てきます。だからこそ、チーム責任者である監督が「自分はこういう考え方で、こういう子どもたちを育てたい」という教育観や方針をはっきり示すことが大切だと思っています。クラブと家庭、あるいはスタッフと保護者が、全く同じ考えだということはまずありません。しかしお互いに共通していることは「子どもをたくましく、よりよい子に育てたい」という願いです。ですから大切なことは「私の考えとは違うけれど、監督の考えや、やっていることはよく理解できる。」という“違いを認め、理解し合うことで、折り合いをつけていく”ことが大切です。
そのためには「子どもたちは今こんなことに頑張っています。そしてこんなに変身し成長しました。」というクラブでの子どもの姿を公開し、常に情報を発信し続けていくことが信頼関係づくりには重要だと思っています。
子どもというのは日々変化し成長していくものです。また。その時々の立場や環境によって様々な顔を持っています。ですから、親が我が子を一番理解していることは事実ではありますが、子どものころのイメージや前学年までの姿、また家族と過ごしている時の顔というのは、必ずしも固定的なその子の現状や本質ではないことが多いものです。
このSAAだより「監督から」は、SAA練習時の子どもの様子や変容、成長をお知らせしたり、今クラブで取り組んでいることや私の教育理念や方針、更に最新の教育情報や役に立つ子育てのポイントなどを毎週きちんと各家庭にお伝えすることで“クラブと家庭の橋渡し”になってほしいという願いを込めて発信していきます。
今年度も多くの保護者の方々に「今週の“監督から”まだ?」と言っていただけるような魅力的なたよりにしていけるよう努力したいと思います。