子どもの叱り方② 監督 齊藤 秀樹
「叱る」というのはとても大切な、しかし、とても難しい教育です。子どもたちが最も嫌いな叱られ方を調査したところ、第一位は「わけ(理由)なく頭ごなしに叱られる」ことだそうです。しかしよく考えてみると、理由もなく叱る大人なんていません。大人は必ず何らかの理由があって叱っているはずです。なのになぜ「理由なく叱られた」と子どもは思ってしまうのでしょうか。それは、大人には十分叱る理由があるのに、それが子どもに通じていないからです。簡単に言うと、子どもが納得するような、子どもの心に響くような叱り方ができていないからです。もちろんこの前提には、子どもとの信頼関係(親子関係、師弟関係…)が必要になることは言うまでもありませんが、どちらにしてもこれではせっかく子どものために叱っても、子どもの心に不満や反発が残るだけで、かえってマイナスに作用してしまいます。
では先週号の例から子どもの叱り方を考えてみます。この2人の叱り方はどこがどう違うのでしょうか。前者の母親の「体罰、脅し、泣き落とし、世間体」という叱り方が全く娘の心に入らなくて、後者の父親の「どんなにできが悪くても、こいつは私の息子です。」が心に響いたのでしょうか。
実は子どもの叱り方には次の3つのポイントが重要なのです。
①…「お前(あなた)には良いところがたくさんある。なのに何でこんなことをしてしまったのか。」ということ。
②…「お前は私の大切な子どもなんだ。大切だからこそ叱るんだ。」ということ。
③…「お前がそんなことをしたのは、親である自分にもいけないところがあるはずだ。だから一緒に悪いところは直すように努力していこう。」ということ。
自分のことを大切にしてくれる。自分の良さを認め、応援してくれる。いつも同じ方向を向いていてくれる。このことが基本です。
「叱る」というしつけ(教育)は“愛”がなくてはできません。何よりもわが子が大好きだから、大切だから、よい子に育ってほしいからこそ、大人は子どもを叱るのです。